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診療科のご紹介

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手術日 - -    
備考欄

基本方針

・消化器疾患に対する外科的な診療を必要とする患者さんに対し、大分県における最後の砦として、安心・安全で質の高い医療を提供します。
・日本専門医機構が認定した外科新専門医制度の基幹施設として、将来の外科医療を支える若手医師の育成に努めます。

診療分野

 日本人の死因は、1981年以後ずっと「がん」が第1位となっています。部位別に見ると、1位:肺がん、2位:大腸がん、3位:胃がん、4位:膵臓がん、5位:肝臓がん、6位:胆嚢・胆管がんであり、2位から6位までをわれわれが担当する消化器がんが占めています。食道がんも乳がんなどに続いて10位です。

 当科では、これら全ての消化器がんに対する外科的治療を中心に以下のような疾患の診療を行っています。

 

1. 上部消化管疾患(食道・胃・十二指腸)

対象疾患:食道癌、食道裂孔ヘルニア、胃癌、十二指腸癌、胃GIST、胃・十二指腸潰瘍穿孔など。
食道癌に対してはほぼ全例で、胃癌に対しては7〜8割の症例で鏡視下手術を行っています。

 

2. 下部消化管疾患(小腸・結腸・直腸)

対象疾患:結腸癌、直腸癌、小腸GIST、結腸憩室炎、炎症性腸疾患、腸閉塞、急性虫垂炎、消化管穿孔、消化管出血など。
結腸癌、直腸癌に対しては約7割の症例で鏡視下手術を行っています。

 

3. 肝胆膵脾疾患(肝臓・胆道・膵臓・脾臓)

対象疾患:肝癌、胆嚢癌、胆管癌、膵癌、十二指腸乳頭部癌、膵神経内分泌腫瘍、膵IPMN、胆嚢ポリープ、胆石症、脾腫など。
腹腔鏡下肝切除術、腹腔鏡下膵切除術は全国多施設共同の術前症例登録に参加し安全性に配慮しています。

 

4. ヘルニア

対象疾患:ソケイヘルニア、臍ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニアなど。
ソケイヘルニアに対しては約9割の症例で鏡視下手術を行っています。

 

5. その他

対象疾患:後腹膜腫瘍、腹部外傷など。

 

診療体制

 当院は臨床研修指定病院、がん診療連携拠点病院であり、日本外科学会、日本消化器外科学会、日本肝臓学会、日本消化器病学会などの専門医修練施設に認定されています。さらに、平成28年度からは、日本肝胆膵外科学会高度技能修練施設に認定されています。
 スタッフは、日本外科学会専門医10名、日本消化器外科学会専門医6名、日本肝胆膵外科学会高度技能指導医(専門医)2名、日本内視鏡外科学会技術認定医2名で質の高い最新の外科医療を提供し指導体制も整っています。
 毎週月曜日と火曜日に麻酔科との合同で術前症例検討会、毎週木曜日に消化器内科との合同で症例検討会、毎月第3火曜日に放射線科、病理部、消化器内科との合同でCancer Boardを開催し、診療科横断的な症例検討会を通じて最適な治療方針について話し合っています。
 特に、鏡視下手術の技術向上にも力を入れており、毎週火曜日と木曜日の午後にビデオ勉強会も行っています。

診療内容

食道がんについて
食道がんの特徴

食道がんは高齢の男性に多いがんで、頸部よりも胸の中の食道にがんができることが多いです。進行すると周囲に広がっていき、気管、気管支、大動脈、心臓などの重要臓器を巻き込みます。また食道はリンパ流が豊富でリンパ節転移が多いことが特徴です。例えば、胸の中央にできた食道がんでも首やお腹に高頻度に転移し、 2/3 の患者さんにリンパ節転移を認めます。さらに、食道がんは他のがんに比べ発育速度が早いと言われ急速に増大します。そのため、がんの中でも悪性度が高く、予後の悪いがんと言われてきました。しかし最近では、手術、放射線、抗がん剤などの治療法が改善され予後もかなり良くなってきています。それでも、予後改善に最も重要なことは早期のうちに発見することです。

食道がんの症状

食道は食物が通る管腔臓器ですので通過障害により食べたときにつかえる感じ、しみる感じがしたり、ひどくなると吐いたりします。また、周囲臓器に浸潤すると声がかすれたり、咳や血痰がでたりします。しかし、症状が出たときには、すでに進行していることが多く、早期に発見するには食道がんにかかりやすい人に適切な検査を行うことが重要です。

(1)三大症状(食物の通過障害による症状)
 嚥下困難 (つかえる)、胸骨後部痛(のど、胸にしみる)、嘔吐(吐く)
(2)周囲臓器への浸潤による症状
 嗄声 (声のかすれ)、咳嗽、血痰
(3)全身状態の悪化に伴う症状
 体重減少、全身倦怠感

早期発見のためには

食道がんにかかりやすい人、つまりハイリスクグループとは 60 歳以上の男性、タバコを吸う人、お酒を多量に飲む人、喉頭がんや咽頭がんなどの耳鼻科のがんにかかった人といわれています。また、食道がんや頭頸部がんの家族をもつ方です。これまで食道がんについての研究では、タバコも吸わず、酒も飲まない人を1とすると、喫煙指数が 1000(例えば40 本/日×25 年間)以上のヘビースモーカーで、飲酒指数が 100(例えば4合/日×25 年間)以上の大酒飲みの方は食道がんに 50 倍もかかりやすいことがわかりました。早期発見のために最も有用な検査といえば食道の内視鏡検査であり、バリウム透視では早期がんはしばしば発見しにくいものです。したがってこれらの危険因子をもつ方は、積極的に内視鏡検査を受けることをお勧めします。

治療の原則

食道がんの治療は、進行度(Stage)によって内視鏡による内科的治療、外科的手術、放射線や化学療法(抗がん剤)による治療に分かれます。内視鏡による治療は、最近行われるようになった治療で早期がんにのみ行えます。手術は切除可能な患者さん、つまりがんが取りきれる、手術に耐えられる、手術を希望する、この3つの条件をすべて満たした人に行われます。これらの治療ができるのは食道がんの患者さんのだいたい6割くらいで、残りの患者さんには放射線や化学療法が行われます。また、手術前にがんを小さくする、また、手術で残ったがんを治療するという目的で放射線や抗がん剤による治療が行われることもあります。

(1)食道内視鏡による内科的治療
 内視鏡的粘膜切除術は軽い麻酔で行え、入院も数日で可能ですが、早期がんにのみしか行えません。この意味でも早期発見が重要です。私たちの施設でも内視鏡治療の可能な方には積極的に内科的治療を行っています。

(2)外科的手術
 手術は食道を大部分切除し(図1)、食道の代わりとなる管をつくります。これを再建といいますが、通常、胃を用います(図2)。まず、右の胸をあけ、食道とリンパ節を取ります。つぎにお腹をあけ、胃を細くして、胸の中あるいは胸の前の方で吊り上げ、残った食道とつなぎます。この手術は7時間から 8 時間程度かかります。 手術により45% 以上の方の根治が期待でき、特に早期がんでは、 90%以上の根治が望めます(術後の成績はがんの進行度によります)。 近年、 当科では胸腔鏡・腹腔鏡による低侵襲手術も積極的に行っており、従来の方法に比べて傷が小さく、手術後の全身状態の回復、痛みが少なく済む利点があります。 現在、8割以上の患者さんに胸腔鏡・腹腔鏡による手術を行っております。

(3)放射線療法、 化学療法(抗がん剤)
 放射線や化学療法は手術の行えない患者さんに行います。食道がんは胃がんや大腸がんよりもこれらの治療が効くことが多く、大きながんがきれいに消えることもあります。ただし、たいていの場合はこのようにきれいに消えたように見えても顕微鏡レベルでは残っており、半年から 1年後にまたがんが再発することが多く、進行食道がんの治療は原則として手術といえます。私たちの科では、手術前に放射線や抗がん剤で腫瘍を小さくし、安全に切除できる大きさにして手術を行う術前放射線・化学療法や手術後に残ったがん細胞に対して行う術後放射線・化学療法も積極的に行っています。当科では患者さんの状態に応じて、上記の治療を適切に判断し、治療を行っております。

当科での治療成績

(1)症例数

 症例数も年々増加しており、特に近年は胸腔鏡・腹腔鏡による低侵襲手術を積極的 に行っております。

 

(2)食道がん切除成績

(3)無再発生存率 (再発のない患者さんの割合)

 食道がんは予後不良ながんですが、当科では集学的治療(放射線・化学療法、手術の組み合わせ)を行い、比較的良好な予後(治療成績)が得られていると言えます。

胃がんについて
胃がんの特徴

 胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になって無秩序に増殖を繰り返すことで生じます。大きくなるにつれてがん細胞は胃の壁の中に入り込み、外側にある漿膜(しょうまく)やさらにその外側まで侵食し、近くにある大腸や膵臓にも広がっていきます。がんがこのように広がることを浸潤(しんじゅん)といいます。また、リンパ節や他の臓器にがん細胞が飛んでいきそこで増殖することがあり、それを転移(てんい)といいます。
 胃がんの発生については多くの研究が行われており、いくつかのリスク要因が指摘されています。喫煙や食生活などの生活習慣や、 ヘリコバクターピロリ菌の持続感染などが胃がん発生のリスクを高めるとされています。
 胃がんの罹患率は40歳代後半以降に高くなります。検診や内視鏡検査の普及により、 日本全体では人口10万人あたりの罹患率は男女とも減少傾向ですが、高齢化のために胃がんにかかる人の全体数は横ばいです。がんで亡くなった人の数では、全てのがんの中で胃がんは2015年時点で男性では2位、女性では4位ですが、胃がんで亡くなる人の割合は減ってきています。

胃がんの治療については、 遠隔転移(M0)やリンパ節転移(N0)がなく、がんの深さがごく浅い場合(cT1A:M)は条件によって内視鏡的切除(EMR, ESD)が選択されることもあります。しかし、浅くても大きい場合やより深いがんの場合は手術の対象となります。
 遠隔転移(M0)がなく粘膜下層に浸潤するがん(T1b)から切除可能な他臓器浸潤(T4b)を有するがんは基本的に手術療法が選択されます。胃を切除する範囲は、がんのある部位と病期(ステージ) の両方から決まります。大まかに言うと、がんが胃の出口に近くにある場合は胃の下 2/3 を切除(幽門側胃切除術)し、がんが胃の入り口近くにある場合や広い範囲にわたる場合は胃をすべて切除(胃全摘出術)します。
 胃がんはリンパ節転移を起こすため手術では胃だけではなく周囲のリンパ節と一緒に切除を行います(リンパ節郭清)。 早期胃がん(T1)の場合は、リンパ節郭清を縮小する(D1)ことも可能ですが、進行胃がんでは標準的なリンパ節郭清(D2)を行います。

 T:がんの深さ(深達度)
 N:リンパ節転移の有無とその範囲
 M:遠く離れた臓器への転移(遠隔転移)の有無
 EMR:内視鏡的粘膜切除術
 ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術

 また、胃がんと診断された段階ですでに他の臓器や腹膜へ転移している場合(M1)は、根治的手術ができないと判断され抗がん剤による治療(化学療法)が選択されます。化学療法によりがんが縮小した結果、手術療法が可能となる場合もあります。がんの進行度によっては対症療法のみ(緩和ケア)を選択する場合もあります。

当科での治療成績

(1)手術症例数
 当科での胃がんに対する手術は年間約40例行っています。 近年低侵襲である腹腔鏡手術が普及し、当科でも積極的に取り入れています。特に早期胃がんにおいてはほぼ100%腹腔鏡手術を行っています。

(2)胃がんの切除成績
 治療成績としての病期別5年生存率はStage Iが95%、Stage IIが65%、Stage IIIが15%、Stage IVが23%でした。Stage IIIが全国平均と比べてやや不良であったのは75歳以上の高齢者の割合が約7割と多く、胃がん以外の死亡原因が含まれたためと考えられます。一方、Stage IVは化学療法などの適切な集学的治療にて良好な成績となっています。

腹腔鏡下胃切除術(大弯側郭清)
腹腔鏡下胃切除術(十二指腸切離)
大腸がんについて
大腸について

 大腸は約1.5mの長さがあり、図のように口側から盲腸、結腸、直腸、肛門の順で構成されています。大腸は消化吸収が行われた食物の最終処理をする消化管で、主に水分を吸収して便を作る臓器です。

大腸がんの特徴

 大腸がんの男性、女性ともにほぼ罹患頻度は同じです。また年齢分布では60歳代後半にピークがあります。大腸がんは近年著しく増加しています。現在、死亡数では肺がん、胃がんに次いで第3位であり、数年後には胃がんを抜くといわれています。大腸がんの発生には、食事などの環境的因子が大きく影響しています。食事では特に動物性脂肪やタンパク質の過剰な摂取が問題となります。
大腸がんにかかりやすい危険因子として、1) 大腸ポリープと診断されたことがある、2) 家族の中に大腸がんにかかった方がいる、3) 潰瘍性大腸炎で長期治療している、 などがあげられています。

大腸がんの進行度

 大腸がんであることが疑われた場合、内視鏡検査、大腸透視検査、CTスキャン検査、場合によっては MRIやPET検査も追加されます。大腸がんは、大腸の壁の内側である粘膜から発生し、進行すると大腸の壁の深いところまで浸潤したり、周囲のリンパ節に転移したり、肝臓や肺などに転移したりします。検査結果を総合的に判断し治療前の病期(ステージ)が決定されます。大腸がんはステージに応じて治療の内容が異なります。

治療アルゴリズムの概略
内視鏡治療について

 内視鏡治療(大腸カメラでの治療)はステージ0やステージⅠの一部が対象です。具体的には粘膜内がん(Mがん)や粘膜下層(SMがん)が対象ですが、左図のように内視鏡治療後に病理診断(顕微鏡の検査)で外科的切除(手術)が必要になることもあります。内視鏡治療は当院では主に消化器内科が治療を担当しています。

外科的切除(手術)について

 内視鏡治療(大腸カメラでの治療)の適応のない大腸がんで遠隔臓器転移(肝臓や肺など)が検査で認められない場合の手術の原則は図のように原発巣(がん)と周囲のリンパ節を切除摘出します。

 がんの場所により切除される大腸のイメージは図のようになります。

当院の手術件数や特徴

 内視鏡治療が困難な早期の大腸がんだけでなく、進行大腸がんに対しても74.9%の患者さんに腹腔鏡下手術を行っています。開腹手術と比べお腹に数か所の穴を開けて手術用の特殊な鉗子で手術を行い、最終的には4〜5cm程度の小切開創からがんを取り出します。傷が小さく術後の痛みも少ないため、体の負担が少なく早期退院が可能です。がんの程度にもよりますが、希望があれば単孔式手術(おヘソ以外に傷がない手術)も行っています。

当科の治療成績

 大腸がんは、その他の消化管がん(食道がんや胃がん)と比較すると比較的治療しやすく、肝転移がある場合でも根治的手術が可能な場合がありますし、他臓器に浸潤したがんでも手術が可能な場合があります。また、最近になり認可された抗がん剤で化学療法による治療成績も向上しています。当院では、大腸がんの進行度に合わせた治療、腹腔鏡手術、高度進行がんに対する手術や抗がん剤治療を積極的に行っています。

肝がんについて
肝がんの特徴

 肝がんは、肝臓そのものに発生する「原発性肝がん」と他臓器のがん(大腸がんなど)が肝臓に転移する「転移性肝がん」に大きく分けられます。原発性肝がんは肝細胞がんと胆管細胞がんが主で、9割以上は肝細胞がんです。肝細胞がんの原因の約7割がB型やC型肝炎ウィルス感染によるものですが、最近では、ウィルス性肝炎を認めない非B非C肝がんが増えてきており、糖尿病や肥満などのメタボリック症候群との関与が指摘されています。

治療方針と治療成績

 肝細胞がんに対しては、図に示すガイドラインに従って、肝切除、局所療法(ラジオ波焼灼療法など)、肝動脈塞栓療法を肝機能(肝障害度)や肝がんの状態(腫瘍数、腫瘍径)に応じて選択しています。治療法選択は、毎週行っている消化器内科との合同カンファレンスで検討した上で決定しています。

(1)手術症例数
 当科での肝切除症例数は増加傾向であり、最近では年間50例以上となっています。

(2)肝がん切除成績
 当科での肝細胞がん切除後の5年生存率は71%であり、全国平均(57%)と比べ良好な成績となっています。

(3)腹腔鏡下肝切除について

 当科では2008年より腹腔鏡下肝切除に取り組み始め、2016年までに117例の経験があります。従来の開腹手術と比較して傷が小さく患者さんの体に対する負担が軽いのがこの手術の利点です。約 75%の患者さんが術後10日以内に退院しています。しかし、全ての患者さんが腹腔鏡下肝切除の対象となる訳ではありません。がんの位置や大きさなどで適応を決めるため、約半数が対象です。

 さらに腹腔鏡下肝切除は80歳以上の高齢者や肥満患者に対しても安全に手術可能であることを確認しています。高齢者は非高齢者と、肥満患者は非肥満患者とそれぞれ比較して腹腔鏡下肝切除後の短期成績(手術時間、出血量、術後在院日数など)に差はなく、その有用性については全国学会で積極的に発表を行っています。

(4)当科における取組み
<術中造影超音波検査>
 腹腔鏡下肝切除の際、触覚を頼りにしたがんの位置確認が困難となります。当科では、腫瘍や周辺の血流状態の詳細な観察を行う目的で、2015年に県内で初めて術中造影超音波検査を導入しました。導入後は従来の術中超音波検査では検出できないような数ミリの微小な肝がんを発見できるようになりました。また、がんのある肝臓の場所に流れる血管の根元を遮断した状態で造影剤を注射することにより、 がんのある部位と正常部位の境界線(肝切除予定線)を正確に映し出すことで、安全でスムースな肝切除が可能となりました。

<インドシアニングリーン(ICG)蛍光法>
 ICG という薬剤が肝がんに停滞し、赤外光で蛍光を発する性質を利用することで、今まで肝臓表面からの視診では見つけることが困難であった腫瘍の同定が容易となりました。特に再発肝がんに対する腹腔鏡下肝切除の症例では大きな成果を挙げています。また、術中造影超音波検査と同様に肝切除予定線を正確に映し出すことでき、これらを組み合わせることで、さらに高精度かつ安全な腹腔鏡下肝切除が可能となりました。

膵臓がんについて
膵臓がん(浸潤性膵管がん) の特徴

 膵臓がんは悪性腫瘍の中でも治療成績(予後)不良なもののひとつであり、最新のがん統計(国立がん研究センター、2016年)では全てのがんのうち死亡数は第4位(男性5位、女性4位)とされています。膵臓がんが予後不良である原因は、①生物学的悪性度が高い(進行速度が速い)こと ②症状が出にくく早期発見が困難なこと ③周囲臓器・血管に浸潤しやすく根治切除が困難なことなどが挙げられます。検診での腹部エコーにおいても体格や部位により膵臓自体がみにくい場合があり、他の病気の精密検査での腹部 CT 検査で偶然に膵腫瘍がみつかることがしばしばあります。糖尿病の発症・増悪も膵臓がんのリスクの一つとされています。
 新規に膵臓がんと診断された場合、根治切除率はおよそ20%にとどまります。残る80%近くの患者さんは転移や局所進行により根治切除はできない(手術対象外)と判断され化学療法が主な治療となります。

その他の膵腫瘍

(1)膵のう胞性腫瘍
 画像診断の進歩により偶然に発見されるのう胞性腫瘍の頻度が増えています。低悪性度とされ、浸潤性膵管がんと比較して予後は良好ですが、それぞれ悪性化のポテンシャルを有するため各腫瘍の特性によっては手術適応となります。消化器外科領域で治療対象となる可能性のある主なのう胞性腫瘍を以下に挙げます。

(a)膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
 膵管上皮から発生する腫瘍で、豊富な粘液を産生する特徴をもつ腫瘍です。膵臓内の大小全ての膵管から発生し得ます。腫瘍の発生部位によって、①主膵管型②分子膵管型 ③混合型(①②をともに含む)に分類されます。画像上みられる複数ののう胞について「ブドウの房状」と表現されます。のう胞内にしこり(腫瘤影)が認められたり、主膵管の拡張(10mm以上)がみられる場合は手術を考慮します。

(b)膵粘液性のう胞腫瘍(MCN)
 主に膵尾側(体部・尾部)に認められ、中年の女性に多いという特徴がみられます。体の発生段階で膵組織に迷入した細胞(卵巣様間質)が原因とされています。画像上、球形・明瞭な隔壁から「夏みかん状」と表現されます。 IPMN と異なり膵管とは交通がみられません。のう胞内にしこりがみられたり、大きさが6c を超えるような場合は悪性が疑われます。 MCNと診断がついた場合は手術の適応です。

(c)充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)
 膵腫瘍のうち頻度は1~2%程度とされ、充実成分とのう胞成分が混在してみられ、また石灰化を伴うことも特徴です。膵尾側(体部・尾部)にみられ30~40代の女性に多くみられます。悪性頻度は10%程度と高くありませんが、画像上確定診断がついた場合は手術が必要です。

(d)膵漿液性のう胞腫瘍(SCN)
 膵尾側(体部・尾部)、中年女性に多くみられます。典型的な場合「ハチの巣状・スポンジ状」の特徴的な画像所見を示しますが、しばしば他ののう胞性疾患と区別しにくいことがあります。悪性化の頻度は極めて低く(1%)、基本的には経過観察されますが、他疾患と鑑別困難な場合や、増大による有症状の場合は手術適応とされます。

(2)膵神経内分泌腫瘍(NEN, NET)
 ホルモンを産生する、または産生する能力のある神経内分泌細胞から発生する腫瘍です。膵腫瘍のうち2%程度とされ、年間初診数は人口10万人あたり2.7人程度と比較的まれな疾患です。ホルモン産生による臨床症状の有無により機能性腫瘍(functioning tumor)、および非機能性腫瘍(non-functioning tumor)に分けられます。
 神経内分泌腫瘍は以前「カルチノイド(がんもどき)」とも呼ばれ良性とされていましたが、その発育は緩徐ながら転移能を有することから現在は悪性の範疇とされ、診断がつけば手術適応とされています。
 産生するホルモンにより種々の臨床症状を呈し、インスリノーマ(インスリン)、ガストリノーマ(ガストリン)、グルカゴノーマ(グルカゴン)、ソマトスタチノーマ(ソマトスタチン)などと呼ばれます。

当科での治療成績

(1)術症例数
 悪性腫瘍に対しては、腫瘍が膵頭部にみられる場合は膵頭十二指腸切除術を、体部・尾部にみられる場合は尾側膵切除術を周囲リンパ節郭清とともに行います。門脈など周囲血管浸潤を伴う場合は血管合併切除を同時に行う場合があります。
 悪性腫瘍の中でも早期病変や、のう胞性・内分泌腫瘍などの良性・低悪性度病変に対しては腹腔鏡下膵切除術を積極的に行っています(2004年6月から2017年3月までに計22例施行)。また、術後長期入院の原因となり得る合併症である膵液瘻(漏)(GradeB・C)も3/22例(13.6%)と低く抑えられています。

腹腔鏡下尾側膵切除術

(2)膵臓がんの切除成績
 *Stage 別の生存率(2011-2016, 神経内分泌腫瘍を除く)

  1年 3年 5年
Stage 0 100% 100% 100%
Stage IA 100% 100% 100%
Stage IB 100% 100% 100%
Stage IIA 75% 75%  
Stage IIB 86% 31%  
Stage IV 100% 50%  

 悪性疾患については術後の回復を待って補助化学療法(再発予防目的の抗がん剤投与)を行います。補助化学療法については腫瘍の進行度によって術前化学療法として行う場合もあります。
 膵臓手術は一般的に難易度が高く、術後合併症の多い外科治療です。当院は大分県内に4施設のみの「日本肝胆膵外科学会高度技能専門医修練施設」に認定されており、専門医・指導医による適切な診断、安全な治療ができる体制を整えています。

胆道がんについて
胆道とは

 肝臓では消化液である胆汁が作られています。胆汁は胆管を通り、胆嚢に貯められ濃縮されたのちに、再度胆管を通り十二指腸へ流れます。この胆嚢と胆管を合わせて胆道といいます。胆管は肝臓の中から集まり合流し、肝臓の外で左右の胆管が合流して1本となり、この合流する部分を肝門部と呼びます。胆管は肝臓の中を走る肝内胆管、肝臓の外から乳頭部まで肝外胆管に分けられます。さらに、肝外胆管は、肝門部から胆のう管の手前までの肝門部領域胆管と、胆嚢管がつながっているところから乳頭部の手前までの遠位胆管に分類されます。

胆道がんの種類

 胆管および胆嚢より発生したがんを胆道がんと呼びます。胆道がんのうち、胆嚢に発生したものを胆嚢がん、胆管に発生したものを胆管がんと呼びます。胆管がんはさらに、発生した部位により肝門部胆管がん、遠位胆管がん、乳頭部胆管がんに分類されます。

原因・症状は

 胆道から発生するがんであり発生原因は不明ですが、胆石との関連性や、膵胆管合流異常症においては高頻度に合併することが知られています。
 症状は、腹痛、体重減少、食欲不振、全身倦怠感、黄疸などがあります。黄疸は、腫瘍により胆管が狭くなることで胆汁の流れが悪くなり、 血液中のビリルビンが胆汁内に排泄できず上昇します。そのため目や皮膚が黄色くなったり尿が濃くなったりします。また、胆汁が消化管に排泄されないと便が白くなるといった症状も出現します。症状はなく血液検査や画像検査で偶然発見されることもあります。

検査・診断は

 検査には血液検査と画像検査があります。血液検査では、胆管閉塞により血液中のビリルビン値が上昇したり、胆道系酵素の ALP やγ-GTP の数値が上昇したりします。腫瘍マーカーとして CA19-9やCEAが上昇することもあります。画像検査には、腹部超音波検査、CT、MRI、内視鏡検査(ERCP)などがあります。画像検査にて、病変の部位、範囲、転移の有無などを診断します。

治療法は

 胆道がんの治療は、外科的切除により根治が望めるため、まずその可能性を検討します。

(1)切除可能の場合
 手術前に黄疸がある場合は胆道ドレナージを行ったり、肝切除範囲が広範になる場合は術後肝不全を予防するために門脈塞栓術を行ったりすることがあります。がんの発生した部位や、進展範囲により術式(手術の方法)が決定されます。肝門部胆管がんでは肝切除および肝外胆管切除が行われます。胆嚢がんの場合、早期の時は胆嚢摘出術のみで治癒する可能性もありますが、進行がんでは肝切除および胆管切除が必要になります。
 遠位胆管がんおよび乳頭部がんは膵頭部および十二指腸も含めた切除である膵頭十二指腸切除術が行われます。

(2)切除不可能の場合
 根治切除不能場合は、化学療法(ゲムシタビンやシスプラチンの併用やTS-1の内服など)や放射線療法などが行われ、黄疸などに対して胆道ドレナージや胆管切除などの姑息的手術が行われることもあります。

当科での治療成績

 胆道がんに対して、内科、放射線科と連携しながら診断および治療にあたっています。当科では根治切除が望める場合は、積極的に外科切除を行っており、2005年から2016年まで当科にて切除を行った胆道がんの手術の内訳と部位別の手術成績を示します。

診療実績

外科年報2016(最新)

外科年報2015

外科年報2014

担当医紹介

部長(がんセンター副所長) 宇都宮 徹

日本外科学会 専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医・評議員
日本肝臓学会 専門医・指導医・評議員
日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医・評議員
日本消化器病学会 専門医・評議員
日本癌学会 評議員
日本消化器癌発生学会 評議員
日本外科代謝栄養学会 評議員
日本臨床腫瘍学会 暫定指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本移植学会 移植認定医
Fellowship in the American College of Surgeon (FACS)
The American Association for Cancer Research (AACR)
The Best Doctors in Japan 2012-2017
現大分大学臨床教授、現徳島大学臨床教授

部長(がんセンター外科) 板東 登志雄

日本外科学会 認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医・学術評議員
日本内視鏡外科学会 技術認定医・評議員
日本肝胆膵外科学会 評議員
日本門脈圧亢進症学会 評議員
九州外科学会 評議員
九州内視鏡外科手術研究会 世話人会幹事
現大分大学臨床教授

副部長
矢田 一宏

日本外科学会 認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医・評議員
日本内視鏡外科学会 技術認定医・評議員
日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
日本消化器病学会 専門医
日本癌治療認定医機構 がん治療認定医

副部長
力丸 竜也

日本外科学会 認定医・専門医
日本消化器外科学会 専門医・消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会 評議員
日本消化器病学会 専門医
日本癌治療認定医機構 がん治療認定医

副部長
米村 祐輔

日本外科学会 認定医・専門医・指導医
日本消化器外科学会 専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医

副部長
末廣 修治

副部長
渡邉 公紀

日本外科学会 専門医

主任医師
松本 佳大

 

主任医師
堤 智崇

 

主任医師(救命救急センター)
二日市 琢良

 

後期研修医
安東 由貴